葛城山の頂上から金剛山を眺める。秋の訪れのススキが一面を蔽う。
友人に昔、奈良の葛城山に行くようにと言われた事があった。あの頃は遠いアメリカの地からグーグルマップで、葛城山あたりの地図を眺めながらなぜか懐かしい気持ちになって、「いつか必ず葛城山に行かなければ」と思っていた。あれはたった5,6年前なのに、今では遠い昔の事のようだ。 あれから大阪に住み移って、何度か葛城山に登るようになった。 山の頂上で瞑想をすると、澄んでいて純粋な気が僕の身体と心を浄化してくれる。 まわりの自然に同化させてくれ、自然に帰らせてくれる。 「力を抜いていいんだよ」と言ってくれてるような気がしてくる。 小さい頃、日が暮れるまで野原で遊んでいたのを思い出す。 そして、地の中に眠る精霊達が地上に出てきて僕の昔の記憶を蘇らせようとする。 「葛城の皇子。会いに来てくれたんだね。ずっと待っていたんだよ」 そんな風に、ススキの間からひょこひょこと出てきた精霊達は昔からの友人のように話しかけてくる。 元気そうに話しかけているのに、彼らの言葉はどこか寂しそうに僕の心に聞こえてくる。 風にふかれる秋のススキを見ると、何故か寂しい気持ちになってしまう。だからそういう気持ちにさせるのか、精霊達の頬に涙が流れてくる。 きっと僕は、遠い昔に此処にいたんだろう。彼らを見ているとそう思えてくる。 あれは何時の事だったんだろう。遠い遠い昔に彼らは僕の友達だったに違いない。 浄化が進むとあくびが止まらなくなる。 そして僕の頬にも涙が流れる。 「右の目から流れる涙は嬉しい涙なのか 左の目から流れる涙は悲しい涙なのか そんな事を解って目は涙を流すのではない。 目は何も知らずに涙を流す。 人と目の関係は、頭と感情の関係に似ている。 それぞれが別のものだという事で、 頭で解っていなくても、感情が解っていて 前世の事を感情が覚えている事があるからだ」 いつかダライラマ法王の講演に行った時、彼が僕の涙を見てそう言っていたのを思い出す。
by rev-umachan
| 2011-10-10 01:20
| 自然
|
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