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三日ぶりに博多から亀岡に帰ってくると、暗い夜空からぽつりぽつりと雨が降ってきていた。この雨は、全ての思いや記憶を消し去って、近くを流れる保津川に雨水と一緒に押し流してしまうようだ。

この街に帰ってくるたび、「私はここの住人なんだろうか?この街の何処に住んでいたんだろう?」などと思ってしまう。
たった三日間留守にしただけなのに、この街は私が住んでいたという記憶を消し去ってしまう。街中に毎朝立ち込める霧。その白い霧が、まるで消しゴムのように、全ての記憶を綺麗に消し去ってしまう。
この街に帰ってくる度、そんな感覚を感じてしまう。

縁もゆかりも無いこの地に住んでいるのは、遠い昔、この地に住んでいたという記憶が何処かにあったからなのかもしれない。しかし、そんな遠い昔の記憶でさえ、真っ白な霧の影に隠されてしまっていて、日の当たる表には出てこれないでいる。

元出雲神社がある亀岡から、清和神社が途中にある明智越え。そしてその向う先には京都。そのルートは、その昔、明智光秀が京都の本能寺を攻めた時に使った道の一つだった。彼は亀岡に住み、私と同じように白い霧に包まれていて、いつ動こうかと機を狙っていた。

そして私も、いつかはこの亀岡から動かなくてはいけないと思っていた。この街にマンションを借りているとは言え、カリフォルニアと亀岡の間を行ったりきたりで、ここにはほとんど住んでなかった。毎朝、街にたちこめる白い霧は、他から来る人を跳ね返すような魔力を持っているのかもしれない。
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by rev-umachan | 2010-02-02 23:51 | 日常の情報 | Trackback | Comments(0)
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