パンドラの箱:
f0171365_20573666.jpg

ギリシア神話に出てくる黄金の箱。その中には、病気、盗み、ねたみ、憎しみ、悪だくみなど、この世のあらゆる悪がはいっていた。プロメテウスは、それらが人間の世の中にはびこらないよう、箱の中に閉じ込めておいた。しかし、パンドラがその箱を開けた為、箱の中からは病気や憎しみ、盗みや怒り、嘘や疑いなどのあらゆる悪が、人間の世界に飛びちった。そして全てが出て行ってしまった最後に残っていたのが、希望だった。こうして人間たちには、どんなひどい目にあっても、希望だけが残されるようになった。


「私、自分の性格を変えたい。
嫌味で、心が狭くて、人に冷たくて、嫌な言葉が思わず口から出てしまう。
もう、そんな性格に疲れました。自分の性格を変えたい。広くて大きな心を持ちたい」
久しぶりに会った友人がそう言った。
「私は彼方の性格を変える事は出来ませんよ。でも、彼方が変えると決心すれば、私はそのきっかけを与えられるかも知れません」
そう言うと彼女は、「もう決心しました。自分の性格を変えます」と言った。
「それじゃ、彼方をそうさせている原因を見つけに行きましょう」
私はそう言うと、彼女と一緒に心の深い処、深淵に潜っていった。

彼女の心の奥底には、黒い幾つかの塊が隅の方に押し込まれていた。その黒い塊を一つずつ開けていって、光りの当たる場所へと引き出していく。小さい頃の思い出、家族との思いで、前世の思い。そんな色々な思い出が、光りの中へと導かれていく。

それはまるで、パンドラの箱から飛び出ししていく魑魅魍魎、悪霊達のようだった。心の中に押し込まれていた思い出達が、光りの中へと飛び出していく。そして心と身体がどんどんと軽くなっていく。

もうそうなると後戻りは出来ない。彼女は軽くなった心を認識しないではいられなくなった。
「私、今まで何でこんな事で悩んでいたのかしら。心がおおらかになって、優しい気分になってきている。あれ、何で涙が流れてくるのかしら」そう言う彼女の頬から一筋、涙が流れてきた。
「何で涙が流れてくるのか、理由が解らない。でも、涙が流れてくる。」
その涙は、彼女が心の中に最後に残っていた希望を感じて、嬉しくて流した涙だったのかもしれない。
[PR]
by rev-umachan | 2010-02-03 20:58 | 個人セッション(ストーリー)
<< Nさん 霧 >>