前世
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「私の前世を見て欲しいのです。」
そう、私の前に座った女性が言う。歳の頃は30歳代と言ったところだろうか。
「私は、この世に生を受けてからというもの、ある組織と関係があるのです。何故これ程、この組織と関係があるのか、それを知りたいのです。恐らく、私が思うに、それは私の前世に何かあったから、こうなったのだと思うのです。だから、私の前世を見て欲しいのです。」
彼女の質問は、明確で、簡潔だった。彼女は、この問題の事で、何年も何年も悩んできたに違いない。彼女の声の表情がそれを物語っていた。

彼女の言う組織の話は聞いた事があった。何世紀も前のヨーロッパで、お金持ちの商人達が作った組織だと聞いた。そう言うと、日本で言う商工会議所みたいな感じに思う人がいるかも知れない。確かにそういう役割もしていたのかもしれないが、組織に反抗する人達への仕打ちなど、あまり良くない噂も聞いた事がある。そして、その組織内で行われる精神的な儀式なども、現在の色々な宗教に影響を与えているという一面も聞いた事がある。
あまり関わりを持ちたくない組織ではあるが、この組織は世界中の金融界を牛耳っているという噂もあり、好むと好まないに関わらず、遠からず多くの人達に関わりのある組織なのだ。
その組織に関わりのある人が、私の前に座っていた。だから、お金持ちに違いないと服装を見るのだけど、普通の若者が着ている服と何ら変わりのないような服を着ている。
きっとお金持ちというのは唯の噂で、実際には、田舎の商工会議所のような、苦しい経営状態なのかも知れない。などと、思ってみたりする。
いやいやしかし、きっと服装は普通の格好でも、銀行にはお金が沢山あるに違いない。いやそれどころか、銀行そのものを幾つも持っているに違いない。などと想像を膨らませてみる。
しかし、そんな私の想像はどうでもいい事だ。今は彼女の前世を見なくてはいけない。

「遠い昔の事で、何世紀も前の事だと思います。場所は、ヨーロッパの何処かです。」
そう、私は、私の頭に浮かんできた絵の説明を始めた。

大きな石を、山から切り出して、運び出している人、何人もの人達が見えます。彼らの上半身は裸で、貧しい労働者達のようです。汗だくになりながら皆、働いています。
どうやら、あなたの家族は、その石を切り出して販売する商売をしていたようですね。あなたは裕福な家族に生まれ、良い服装をしています。
石を運び出す時、何人もの労働者達が亡くなったようです。反感を持つ人達や、同業者達がいました。そして、それらの人達に対抗するために、あなたの家族は組織を作りました。それがどうやら、あなたが今関わっている組織の原型だったようです。
その組織は、力強い労働者達を使い、血なまぐさい事も行ったようです。表面的には、その組織は精神的な儀式を中心として活動をしていました。そして、その精神的な儀式をしていた一人があなたでした。あなたが精神的な事を人に教えている姿も見えます。
だから、あなたは精神的な事にとても敏感なのです。
今も昔も、あなたは裕福な生活をしています。でも、その裕福な生活は、多くの人達の犠牲の上になりたっています。あなたは、その事をいつもに気にしていて、犠牲になった人達へ何かしてあげたいといつも思っています。そしてその時の家族の繋がりも、今のあなたの存在に関係があります。
家族の繋がりや、過去で出会った人達との人間関係が、今のあなたの状況を作り出しているようです。

そう私が言うと、彼女はこう言った。
「あなたには何の事を言ったのか解らないと思いますが、あなたが言った事柄。私には全て理解できます。そしてそれは、私にとって、とても大切な情報でした。ありがとうございました。」
そう言って、彼女は去って行った。
はっきり言って、私が見た絵は、私にとって何の意味も無かった。しかし、彼女にとってはたいそう意味のあるものだったらしい。彼女の顔は、「今まで悩んでいた問題の答えが見つかった。」という表情をしていた。

仏教には起因という考え方がある。「全ての物事には原因があって、その原因があるからこそ問題が起こる。」という考え方だ。それは、縁起とも言い、「縁があって初めて物事は起こる。」という考え方でもある。
「縁起が悪い。」と言う時があるが、それは元々の縁、原因が悪いという意味がある。そして、「原因が悪いから、起こる事柄も良くない。」という意味だ。
だから、物事を理解しようとする時、あるいは解決をしようとする時。その原因である、事柄を理解すれば、問題は自ら解決に向かうと思う。
多くの人は、その問題の原因から目を背けてしまう。しかし、問題があるという事は、原因もそこにあるわけで、よくよく見てみれば原因も解るのだろうと思う。
その原因がどこにあるのか、小さい時に起きた事に起因するのか、あるいは前世で起きた事に起因するのか。その原因を見つけていこうとする事は、その人の問題解決に繋がっていくという事なのだろう。
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by rev-umachan | 2008-05-26 05:29 | 個人セッション(ストーリー)
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